さぁ、はじめよう!!
今でこそパソコンやスマートフォン、タブレットなどが普及し、記録を電子データに保存することも増えてきましたが、昔から記録を残す媒体として多岐に渡り活用されてきた紙。
文字やイラストを書いたりものを包んだりと、様々な用途に使われており、それらは細かく分類されています。意外と知らない紙の種類と分類についてまとめてみました。
紙の種類
紙とは、植物繊維、その他の繊維を絡み合わせて、膠着(こうちゃく / しっかりくっついて離れにくくなること)させて、薄く平らに製造したもの。
紙を大きく分類すると、「紙」と「板紙」の2つに分けられる。さらに紙は、原料により和紙と洋紙の2つに分けることができる。
和紙
欧米から伝わった西洋紙(洋紙)に対して「日本古来の製法」による手すきでつくられた紙のことを指す。7世紀初期(610年)に中国の紙の製紙技術を、朝鮮の古代三国の一つである高句麗(こうくり)の僧侶、曇徴(どんちょう)により日本に伝えられたといわれる。
その後、中国の技法「溜め漉き」ではなく、日本は独自の製法を編み出した「流れ漉き」という漉き方で日本各地広まった。和紙の主な原料は楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)で、それぞれ、靭皮(じんぴ)という部分が使われている。
長い繊維を十分に絡み合わせ「ネリ」と言われる植物性粘液を混入して、水の中で攪拌(かくはん)し一枚一枚漉きあげ乾燥して作られるため、薄くて水に強い、しなやかで軽い、通気性に富んで手触りが良いといった、独特の風合いや保存性の高さが特徴である。
洋紙
明治初年に西洋から伝わった機械抄きでつくられる紙の総称で、手すきの和紙と区別して呼んだことに由来する名称。しかし、現在では「和紙」と呼ばれていた紙も機械で漉くことがあるので、はっきりとした定義はないようだ。
和紙の主な原料は木材パルプ、綿、麻などが使われている。
板紙
機械抄きの板のように厚くかたい紙の総称で、薄い紙が何枚か重なってできた積層紙(せきそうし)でできている。
工業製品としての紙の種類
経済産業省の工業調査統計により、紙の種類はその品質や用途によって、さらに細かい品種に分類されている。ただし和紙については、工業製品の分類には入っていないため、ここでいう紙は「洋紙」のことを指している。
紙の分類
パルプ(木材の繊維)層が1層のみでできた薄い紙。
新聞巻取紙
新聞印刷専用に抄造された紙。
印刷・情報用紙
印刷用紙:印刷用に抄造された用紙。
チラシ・新聞・カタログポスター・雑誌・ノートなどに使用される。
情報用紙:情報システム用に抄造された用紙。
伝票・領収証・コピー用紙・レジロールなどに使用される。
- 非塗工印刷用紙
- 紙の表面に顔料などをコーティング(塗布)されていない印刷用紙。
- 上級印刷紙
- 化学パルプ配合100%で抄造された用紙。
表面に光沢やツヤはあまり見られない。
書籍、教科書、辞典、商業印刷、一般印刷などに使用される。 - 印刷用紙A
- 白色度75%程度以上の用紙。
書籍、教科書、ポスター、商業印刷、一般印刷などに使用される。 - その他印刷用紙
- 書籍、辞典、地図など、その目的に応じて抄造された印刷用紙。
- 筆記・図画用紙
- 筆記用紙:ノート、便箋、帳簿などの仕様に適するよう抄造された用紙。
図画用紙:製図、スケッチブックなどの仕様に適するよう抄造された用紙。
- 中級印刷紙
- 化学パルプ配合70%以上で抄造された用紙。
書籍、教科書、文庫本、雑誌の本文などに使用される。 - 印刷用紙B
- 白色度75%程度以下の用紙。
書籍、教科書、雑誌の本文、商業印刷、一般印刷などに使用される。 - 印刷用紙C
- 白色度65%程度以下の用紙。
雑誌の本文、電話番号簿本文などに使用される。 - グラビア用紙
- 雑誌などのグラビア印刷に使用される。
- 下級印刷紙
- 化学パルプ配合70%未満で抄造された用紙。
雑誌の本文、電話帳などに使用される。 - 印刷用紙D
- 白色度55%程度の用紙。
雑誌の本文などに使用される。 - 特殊更紙
- 漫画誌の本文などに使用される。
- 薄葉印刷紙
- 紙の重さが非常に軽い薄い用紙。
- インディアペーパー
- 両面で1m²当たり40g以下で抄造された極く薄く不透明度の高い用紙。
辞書、六法全書、バイブルなどに使用される。 - その他薄葉印刷紙
- 上記以外の両面で1m²当たり40g以下で抄造された、カーボン紙原紙、エアメールペーパー、転写用紙、タイプライター用など。
- 微塗工印刷用紙
- 上質紙、中質紙をベース(原紙)に、両面で1m²当たり12g以下の塗料をコーティングした用紙。グロスとマットがある。
チラシ、リーフレット、パンフレットなどの商業印刷に使用される。 - 中質紙
- 両面で1m²当たり20g程度以下の塗料でコーティングした用紙。
- 塗工印刷用紙
- 上質紙、中質紙をベース(原紙)に、表面を一定の顔料などでコーティングした用紙。
- アート紙
- 上質紙をベースに1m²当たり20~40g程度の塗料でコーティングした用紙。
コート紙より表面の平滑度が高く高級感がある。両面で1m²当たり20g程度の塗料をコーティングした用紙をアート紙。
両面で1m²当たり40g程度の塗料をコーティングした用紙をスーパーアート紙。
カレンダー、ポスター、高級美術印刷、雑誌の表紙などに使用される。 - コート紙
- 両面で1m²当たり20~40g程度の塗料でコーティングした用紙。
紙の表面にコート剤がコーティングされているため、サインペンや鉛筆などによる書き込みがしにくいなどの欠点もある。
ポスター、カレンダー、カタログ、本の表紙などに使用される。 - 上質コート紙
- 上質紙をベースに両面で1m²当たり40g程度以下の塗料でコーティングした用紙。
高級美術書、雑誌の表紙、ポスター、カタログ、カレンダー、パンフレット、ラベルなどに使用される。 - 中質コート紙
- 中質紙をベースに両面で1m²当たり40g程度以下の塗料でコーティングした用紙。
雑誌の本文、カラーページ、チラシなどに使用される。 - 軽量コート紙
- 上質紙をベースに両面で1m²当たり15g程度の塗料でコーティングした用紙。
雑誌の本文、カラーページ、チラシなどに使用される。 - その他印刷用紙
- ー
- キャストコート紙
- キャストドラムという機械で、アート紙やコート紙の表面に圧力をかけ、光沢や印刷効果がより高くなるように仕上げた用紙。
アート紙よりも光沢があり平滑度が高い反面、傷つきやすいという弱点もある。
高級美術書、雑誌の表紙などに使用される。 - エンボス紙
- 彫刻ロールや型付ロールを使用して、アート紙、コート紙、キャストコート紙などの紙に圧力をかけて「梨地・布目・絹目」などの模様をつけ、エンボス仕上げした高級印刷紙。
カタログ、パンフレットなどに使用される。 - その他塗工紙
- 上記以外のアートポスト、ファンシーコーテッドペーパー、絵葉書、カード、商業印刷、高級包装など。
- 特殊印刷用紙
- 紙自体に着色や模様などの特殊な加工を施した用紙。
- 色上質紙
- 上質紙をベースに染色した印刷用紙。
表紙、目次、見返し、プログラム、カタログ、健康保険証などに使用される。 - その他特殊印刷用紙
- ー
- 郵便はがき用紙
- 郵政省で発行する通常はがき、年賀はがき、往復はがきなどに使用される。
- その他特殊印刷用紙
- 上記以外の小切手、手形、証券、グリーティングカード、地図、製図用紙、ファンシーペーパーなど。
- 情報用紙
- 情報システム用に抄造された用紙。
- 複写原紙
- 文字や画面を複写するの に使われる紙。
- ノーカーボン原紙
- 筆圧を感知し、肉筆と同様の文字などを複数枚に渡り複写できる用紙。
伝票、領収書、帳票などに使用される。 - 裏カーボン原紙
- 紙の裏面にカーボンインキを印刷し、筆圧を感知し、肉筆と同様の文字などを複数枚に渡り複写できる用紙。
- その他複写原紙
- 上記以外のクリーンカーボンペーパーなど。
- フォーム用紙
- コンピュータの出力用の連続した用紙。
NIPを含む。 - PPC用紙
- 普通紙複写機(PPC)に使用される用紙。
複写機で一般的に使用されているコピー用紙。
- 情報記録紙
- 受信したファクスを印刷したり、コピーをとるための用紙。
- 感光紙原紙
- 感光乳剤を塗布した紙。
印画紙、複写紙などに使用される。 - 感熱紙用紙
- 熱を感知することで色が変化する紙 。
ファクシミリやプリンターなどの出力に使用される。 - その他情報用紙
- 上記以外の静電記録紙原紙、熱転写紙、インクジェット紙、放電記録紙、計測記録用紙など。上記以外の静電記録紙原紙、熱転写紙、インクジェット紙、放電記録紙、計測記録用紙など。
包装用紙
物や商品を包んで守ったり、運んだりすることを目的とした紙。
包装紙・封筒・紙袋お菓子の袋などに使用される。
- 未晒し包装紙
- 薬品などで脱色や染色加工をほどこしていない白くない紙。
- 重袋用両更クラフト紙
- セメント、肥料、米麦などを入れる大型袋に使用される丈夫な褐色の紙。
- その他両更クラフト紙
- ー
- 一般両更クラフト紙
- 粘着テープ、角底袋、一般包装および加工用などに使用される褐色の紙。
- 特殊両更クラフト紙
- 手提げ袋、一般事務用封筒などに使用される褐色の紙。
- その他未晒し包装紙
- ー
- 筋入りクラフト紙
- 筋入り模様のある片艶の薄い褐色の紙。
果実袋、封筒などに使用される。 - 片艶クラフト紙
- 片艶の褐色の紙。
合紙、タイル用の原紙などに使用される。 - その他未晒し包装紙
- 上記以外の未晒しの褐色の紙。
一般包装、加工用ワンプなどに使用される。
- 晒し包装紙
- 薬品などで脱色や染色加工をほどこされた白い紙。
- 純白ロール紙
- 抄紙機で抄造された片面光沢の紙。
包装紙、小袋アルミ箔貼合などの加工原紙として使用される。 - 晒しクラフト紙
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- 両更さらしクラフト紙
- 抄紙機で抄造されされ、手提げ袋、封筒、産業資材の加工用などに使用される紙。
- 片艶さらしクラフト紙
- 抄紙機で抄造され、手提げ袋、小袋、薬品、菓子、化粧品などの小袋、加工用などに使用される紙。
- その他さらし包装紙
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- 薄口模造紙
- 抄紙機で抄造したものを、更にスーパーカレンダーで仕上げした両面光沢の薄い紙。
包装用、伝票などの事務用紙などに使用される。 - その他さらし包装紙
- 上記以外の包装用、加工用などに使用される、純白包装紙、色クラフト紙など。
衛生用紙
水分を吸収したり、汚れを拭き取るために使う紙。
- ティッシュペーパー
- 鼻をかむときなどに使用する吸水性のある薄い紙。
- トイレットペーパー
- 晒パルプや再生紙で製造されたトイレで使用されるロール状にした紙。
- タオル用紙
- キッチンペーパー、手拭きなどで汚れを拭い取るために使われる、吸水性に優れ柔軟ながら丈夫な紙。
- その他衛生用紙
- 上記以外の衛生用紙の京花紙、ちり紙、テーブルナプキン、生理用紙、おむつなど。
雑種紙
特殊な用途向けに加工をした紙。
- 工業用雑紙
- 建材や家具、基板などに応用される紙。
- 加工原紙
- 2次加工を目的とする紙。
- 建材用原紙
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- 化粧板用原紙
- 家具、壁材用のプリント合板用に用いられる原紙。
- 壁紙原紙
- 壁紙用に用いられる原紙。裏打ち用を含む。
- 積層板原紙
- フェノール樹脂を含浸処理し、電気製品などに使用されるプリント基板用の原紙。
- 接着紙原紙
- 粘着・剥離用の基紙、工程紙などに使用される原紙。
- 食器容器原紙
- 紙コップ、紙皿、小型液体容器などに使用される原紙。
- コーテッド用紙
- 市販または自社・他工場向けに出荷するる微塗工印刷用及び塗工印刷用原紙。
- その他加工原紙
- 上記以外の塗布、含浸などの加工を施して使用される紙で、硫酸紙、耐脂・耐油脂、防錆紙、温床紙、擬革紙、研磨紙、ろう紙、バルカナイズド原紙、製紙用マスター、写真印画紙原紙など。
- 電気絶縁紙
- コンデンサーに使用される厚さ0.005~0.025mmのごく薄い絶縁紙。
- コンデンサーペーパー
- コンデンサに使用される極く薄い絶縁紙。
- プレスボード
- 変圧器などに使用される厚い絶縁紙。
- その他絶縁紙
- 上記以外のケーブル、コイルなど各種電気絶縁用に使用される紙。
- その他工業用雑種紙
- 上記以外のライスペーパー、グラシンペーパー、トレーシング、濾紙、水溶紙、遮光紙、煙草用チップ、吸取紙など。
- 家庭用雑種紙
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- 書道半紙
- 書道用の半紙、書写用紙、画仙紙など。
- その他家庭用雑種紙
- 上記以外の紙紐、障子紙、傘紙、襖紙、ティーバック、のし袋など。